【感想】マイ・ブロークン・マリコ(ネタバレ有り)
【あらすじ】
親友のマリコが自殺したと知り、大きなショックを受けたトモヨ。父親に虐待されていた親友をせめて遺骨だけは救い出したいと願った彼女は、遺骨を奪って逃走し、マリコが行きたがっていた岬へと旅に出る。
(Google検索より引用)
【感想】
以下ネタバレ有りの感想です。
まず言いたいのは、原作に沿ったストーリーだということ。細々した変化や、+aで付け足されていた描写はあれど、原作に忠実と言って良いと思う。
私はこの作品が好きで、この作品の温度感や勢い、マリコという“シイちゃん”の友人を弔うストーリー、セリフの言い回し、その一つ一つがとても好き。
だから、よく耳にする「改悪」とか、「実写化失敗」のようなものにならなくて本当に良かったと思う。
漫画を何度も読んでいたから、改めて感想を書くっていうのはなんだか不思議だけど、やっぱりこの作品に出会えて良かったな……と思う。
先週遊んだばかりの友人の訃報を、外回り中に入ったご飯屋さんのテレビで聞くことになるところから始まるが、その後の描写が割とぶっ飛んでて好きだ。
私はどんだけ大事な友達で、その友達の家庭環境が悪くても、あんなことは出来ねぇよなぁ……と思う。
私はトモヨみたいに、刺し違えてでも遺骨を持っていこうとは思ったとしても出来ないから。
こういう話だと大体、トモヨに共感というか、重ね合わせて(?)物語に没入していくんだと思うが、私はマリコだった。
もっと詳しく言えば、自分がマリコみたくなったら、周りの人達はどう思うんだろうとボーっと考えながら見ていた。
何回もめんどくせぇと思いながら、それでも本気で付き合ってくれたいた友人を置いて、マリコは行ってしまった。
それくらいマリコは限界で、先週会ったばかりだというのにああなってしまった。
マリコは、「あれが最後になっちゃったな」とか考えたんだろうか。
シイちゃんを思い出したりしたんだろうか。
トモヨが海を目指してる途中や、岬でのシーンで遺骨がマリコになるのは、やっぱり絵でも映像でも好きだなと思った。
ちゃんと“マリコ”とそこにいるんだなと思える。
でもトモヨはタフだな………男の人にも言われていたが、見知らぬ土地で無一文なのに酒飲んでその辺で寝るって………。
最初から最後まで親切だった男の人だけど、半年前に飛び降りたその海から、まだ離れられないでいるのかな……と思ったりした。
「けっこう死ねない」海で釣りをして、ボサボサの髪に伸びた髭。あの人はずっとあこにいて、ただ「死ねなかった」人なんじゃないかなぁ。
でも危なっかしいトモヨと出会って、見るからに限界そうなトモヨを助けることであの人も前を向くキッカケになったんじゃないかな……と思ってる。
時間が経つと記憶が美化されるけど、トモヨが必死にめんどくせぇと思った時の記憶を、思い出そうとしてるのが良かった。
そうだよなぁ……思い出そうとしないと段々、綺麗な思い出になっていってしまうもんなぁ。
私の記憶してる過去も、段々と綺麗なものばかりになっていっちゃうのかな。
トモヨはいきなりマリコがいなくなっちゃって、何も言えず何も出来ずただいなくなられた事に混乱し、でもマリコの為に何かしたくて海に来たんだと思うけど、あの女子高生にマリコを重ね合わせて助けたお陰で、いくらか救われたんじゃないかなって思う。
結果的に骨も海に撒いちゃったし。
おばさんは可哀想だけど、海に撒くことが出来て良かったなぁという感じ。
映画では自宅に戻った後の話も追加されていたけど、当事者以外にとっては人の死なんて関係ないんだよね。ギプスが取れて、普通に仕事が出来るようになって、またいつもと同じようにお店でご飯食べて、そうやって日常に戻っていくんだよなぁ。
最後はおばさんから届けられた、パンプスの袋に入ってる手紙を読んで終わるが、マリコはちゃんとシイちゃんへ手紙を書いていたんだなと知れて良かった。
何も言わずに置いていったと思ったけれど、トモヨのこともちゃんと考えていたと分かるし、トモヨが返事をするのも言い。
見たままの勢いで書いたからごちゃごちゃしてしまったけど、一言でまとめると「凄く良かった」です。
好きな作品を、好きな作品のまま映像化してくれてありがとうございます……見れて良かった……。
同作者さんの「ホットアンドコールスロー」も是非こういう感じで映画化してほしい……。