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【感想】「明日への地図を探して」【ネタバレ有】

【あらすじ】
マークはタイムループにハマってしまい、同じ1日を何回も繰り返していた。マークはループからの脱出方法を探る一方で、ループの中でしか味わえない自由を謳歌していた。そんなある日、マークは同じくループに囚われた女性、マーガレットと出会った。2人は一緒に時間を過ごす中で惹かれ合うようになったが、マークには1つ気がかりなことがあった。夜になるとマーガレットにメールが届き、そのメールを見た途端、彼女はどこかに行ってしまうのである。「その日に何が起こるのかを把握しているはずなのに、マーガレットは何故同じ内容のメールに突き動かされるのか」。この謎の答えに辿り着いたとき、マークは何故自分がループに囚われたのかを知るのだった。
 
(Wikipediaより引用)

明日への地図を探して - Wikipedia
 
 
 

 
 
 
 

 
 
【以下感想(ネタバレ有)】
 
物語の始まり、主人公であるマークの生活シーンから始まるが、通常の生活→ループ生活に変化するのではなく、最初からループの中で生活している様子が描かれてるのが面白かった。
妹や父親の行動を先回りしての発言や行動、街の人々の細かな行動まで把握していて、どれだけ長い時間このループに囚われているかが伺えた。
繰り返す1日を最高のものにしようとするマークの努力や根気は凄いなと思った。
少しのタイミングが違えば失敗してしまうことを、何度も何度も繰り返していた。
例えば学校に行く途中で見かけるおばさんのスカート。カバンのせいでずり上がってしまい、下着が見えてしまっているのを気付かれずに直していた。
他には気になっている女の子。飛んできたボールに当たってプールに落ちてしまうのだが、なかなか回避のタイミングが難しくて逆に不振がられてしまったりする。
スマートに助けて上手くいくはずだったのに、またループしてしまい進展はないまま……。
それでも毎日そうして助けに行ったりしていて、それだけ女の子のことが好きなんだなと感じた。
そう考えると、このループした世界で恋をしてしまってもこちらの感情が積もるだけで、何の意味も成さないんだろうな。
どれだけ相手への好意を持っていても、スマートに助け出せても、相手の気を引くことができても、“明日”には全部無かったことになる。
過ごした時間も、交わした会話も全部。
それって凄く切ないなぁ。
私だったらどうするか考えてみたけど、新しく恋を始めるのは無理なような気がした。
既に恋人がいたりすれば、文字通り「変わらない」毎日ではあるが、恋人とずっと過ごしていくんだろうと思う。
逆に、相手がその立場で、私と同じような考えを持っていたらとても健気で愛おしく思うんだろうな。ループを知っていればの話だけど。
でも、突然ループに嵌まった恋人が、長い期間その1日に囚われていたとして、そのループの中でマーガレットのような同じ時を過ごす人を見つけてしまったら、凄く悲しいと思う。
自分はたった1日を過ごしているわけだから、相手への好意は変わらない。でも、相手はループする世界で同じ時を生きる人に会い、知らずのうちに惹かれていって恋をしてしまう。
たった1日。自分にとっては何の変哲もない1日だったのに、恋人の心は離れていて、振られてしまうと考えたらとんでもなく切ない。
 
でも、私もループの世界に閉じ込められてしまったら、マークとマーガレットのようになってしまうのかもしれないとも思う。
2人に恋人はいなかったけど、いても多分、遅かれ早かれ惹かれ合う運命なんじゃないのかな。
周りの人は同じ動きしかしない、その中で唯一変化のある会話が出来る相手。
とんでもなく危ない人とか、とんでもなく歳の離れた人とかじゃない限りはそうなりそうな気がする。
 
 
マークは物語の後半で、自分は主人公じゃなかった。彼女が主人公だったというような発言をするのが印象的だった。
人生の主人公は自分だというけれど、他人のためにある世界だと認知することはとても勇気のいることだったと思う。
母を失いたくないというマーガレットの強い気持ち。ループの中で生きていたいと思っている彼女の健気さが良かった。
 
でも、ループ脱出への道が私には難しすぎて、私がループの中に囚われていたら絶対一生あのままだったんだろうな………と思う。
数学はあんまり得意じゃないし、お店のガラスに図で書いた次元の話はなんとなくわかる気がしたが、地図と時間を照らし合わせて模型(?)を作って、影でその図を表した辺りとかちんぷんかんぷんだった。
日常で使わないような計算とか勉強とか、知識として頭に入れたり知っておくと人生が豊かになるっていうのは本当だよなって、この映画を見て少し思った。
こういう物語などで出てくる展開やコンセプトが、知識があるだけでより面白くなる。
ここではああいう三次元、四次元の話だったけれど、数学とかもっと勉強してたら物語の見え方が少し違ってくるかもしれないなぁ……。
例えば時代物の映画とかだったら、歴史を知っていた方が楽しめるし、スポーツものだったらそのスポーツのルールや歴史を知っていた方が何倍も楽しめる。
 
勉強ってそういうものなんだろうな……と感じた。
知っておくだけで見方の幅が広がるというかなんというか。

 

あと、個人的に印象に残っていたのは、タイトルにもある地図を作るところ。

毎日この街で起こるあらゆることを細かに、正確に記してあって、それを毎朝一から書き上げるのは記憶力と根気強さが必要で、「習慣化」してるからこそ続けられる事なんだろうな……と感じた。

ループだから、持ち越せるのは当たり前だけど記憶だけ。だから自分の記憶しか頼りにならないわけで、記憶力良いなぁ………と羨ましく思った。

 



物語のラストではマーガレットが踏み出して、母親に別れを告げマークのところへくるが、別れはとても辛いだろうなと思った。
自分が望めばずっと母に会える。でもまぁ、毎日母親が死んだところを見るのも辛いだろうけど。
これからマークと「明日」を歩んでくんだなぁ……と思ったらホッコリした。
あの親友とも気が合いそうだし、上手くやっていけそう。
 
全体を通して私はとても好きだったなぁ。
それに色々な事を想像したし、とても面白かった。