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【感想】二重生活(ネタバレ有)

【あらすじ+解説】(映画.comより引用)

直木賞作家・小池真理子の同名小説を、ドラマ「ラジオ」で文化庁芸術祭大賞を受賞するなど、数多くのドラマやテレビ番組を手がける岸善幸の劇場デビュー作として映画化。門脇麦演じる大学院生が近所に住む既婚男性を尾行することで、他人の秘密を知ることに興奮を覚えていく。大学院の哲学科に通う珠は、担当教授のすすめから、ひとりの対象を追いかけて生活や行動を記録する「哲学的尾行」を実践することとなる。最初は尾行という行為に戸惑いを感じる珠だったが、たまたま近所に住む石坂の姿を目にし、石坂の姿を追う。一軒家に美しい妻と娘と暮らす石坂を、珠が尾行する日々が始まった。主人公・珠役を演じる門脇は本作が映画単独初主演作。石坂役を長谷川博己、教授役をリリー・フランキー、珠の恋人役を菅田将暉がそれぞれ演じる。

 

出典元 二重生活 : 作品情報 - 映画.com

 

 

 

 

 

 

 

以下ネタバレ有の感想

 

まずこれは珠が「理由のない尾行」をすることで、尾行対象の人間関係が変化する様子を観察したり、自身の人間関係が変化していく物語になっている。

 

教授から100人規模でアンケートを実施するのではなく、対象を1人に絞る……と提案された時、たまたま尾行対象に選んだ相手が近所の人だったのは運が良かったのかなと思う。

家が近かったからこそ、出かけるタイミングや家の前での出来事、近所を歩く様子などが観察でき、大家さんから家族構成も書き出すことができた。……まぁ、それが珠自身の情報を渡すことにもなってしまったんだけど。

 

でも、相手がそこそこの金持ちだったが故に、珠の出費大変そう……と見てて思ってしまった。

一大学院生がタクシーばんばん乗り回して、お洒落な喫茶店やカフェ、レストランなどお金のかかるところばかりに赴けるものなのか?という感じ。

バイトなんてしていなさそうだったし、どこからのお金なのか気になる。

 

序盤で大家さんが設置した監視カメラだけど、あれの意図はなんだったんだろう……としばらく考えていたけど、私には少し分からなかった。

わざわざ監視カメラの映像を見せているのだから、何か考えがある話だと思うけど、ぶっちゃけあの映像がなくても物語は回るし、救急車や大家さんがまたゴミ捨てに関して怒っているところも、ストーリーとして語られるのだから監視カメラの映像なしでも問題はないと思う。

だから、演出的に何を感じさせたくてそうしたのか………まだ私は答えが出せない。

 

後半で立て続けに監視カメラの映像が流れるシーンがあったが、ゴミ捨て場を見て立ち尽くす大家さんに少し笑ってしまった。

その前のシーンでは卓也がタバコを捨てていたが、監視カメラを設置したとて適当に捨てるやつは捨てるんだっていう感じ。

理由のない尾行を経て対象の人間関係、珠の人間関係は変化していくのに、監視カメラを設置して尚変わらないゴミ捨て場。その対比なのかなとも思う。

 

 

私が珠だったら、と考えたけどいくら論文を書かなければならないと言って、尾行を選択するだろうか……と思ってしまう。

尾行を選択するにしても、卓也には事前に言っても良かったんじゃないのかな。

「教授に言われて尾行することになったんだけどー!」とか言って、ノリとして最初に言ってしまえば怪しく思われる事も、関係が崩れることもなかったんじゃないのかな……と。

珠の嘘が下手なところも、尾行が下手なところも、教授に言われたからと言って尾行を本当にしてしまうところも、なんだかこう流されやすいタイプというか、自分の意志が薄いというか。ふわふわしたような、見ていて「うわー!!」と思うようなタイプだなと感じた。

 

「私なんか悪いことした?」と不倫女に言った時、いやいや尾行してたじゃん!とツッコミたくなってしまった笑

珠が何かしたわけじゃないし、実害があった訳でもない。珠が尾行してもしなくても、不倫はバレていただろうしそれは珠のせいじゃない。

でも尾行自体に対して全面的に良いこととは言えないし、限りなく黒に近いグレーなんじゃないだろうか。

まぁ、尾行のせいで不倫がバレた!て思っても仕方ないとは思うが、そもそも不倫をしなければ何もなかったわけで、やっぱり珠だけが悪いとは絶対に言い切れない。

 

でも、卓也のことを考えると不憫だと思う。

彼女が最近なんか怪しいなと思ったら、全然知らないやつを尾行してました〜なんて。

一緒にいる意味ってなんだろうねって卓也は言ってたけど、それは珠が全然卓也のことを見ていなかったからなのかな。

「珠はどう?」ってそれぞれ机に向かいながらも、卓也はお互いのことを話そうとしていたのに、珠はイヤホンつけて自分の世界に入っていたし、日々の尾行で2人の時間なんて全然なかったんじゃないかな。

壁に飾られた珠の似顔絵、寝顔を見つめる卓也の表情。割と卓也の出番が少ないのに、2人の距離とかすれ違いがよく分かって良かった。

 

 

でも論文書かせてください!でラブホに行くのはよく分からんかったな………。

ラブホから出てこなければ卓也には、言い訳苦しいにしても論文のためだったで終わらすことが出来たのになぁ……って。

というか対象者Aの行動パターン等を論文に落とし込むだけで、職業だの家族構成だのにはフェイクを加えて身バレしない程度にすれば、勝手に書いていいと思うけどな。

それで体使う方向に行くのが分からない。

上手くいかなくてむしゃくしゃしてって感じかな。

石坂も石坂で、不倫がバレて奥さんがああなった後でよくそんな事が出来るな!という感じ。どしたお前ら、、。

 

ラブホから出てくるところを卓也が見てたわけだけど、珠も卓也に尾行されてた感じかな?と思った。でも卓也はあの一回きりだろうなと。

珠は気づかなそうだしお酒入ってたしで、バレなさそうだなぁ。

教授を尾行してた時も結局バレていたし、挙動とか距離とか怪しすぎるんだよな……。

石坂が路地で致してる時に、何度も往復して覗いてた時は流石に笑ってしまった。

そらバレるでしょ!って。

 

 

でも、教授が自決してしまったのはなんでなんだろう。妻役の契約期間が切れて、生徒の論文も完成して、それで………それで?いや分からん。珠が書いた人間の実存に関する論文を読んで何か分かったんだろうか。いや、教授だから珠よりも知識とか思考も上だろうし、何をもってして死を選んだのか分からない。

母が亡くなってしまって、期間限定の妻も終わってしまって、何も無くなってしまったからもういいやって?

 

最後に、珠があるいてる数メートル横に卓也がいたのはなんだったんだろうか。

物を落とすとかそういうアクションを、ただのエキストラがするだろうかって思ったら卓也だった。

でもなにかあるわけじゃなく、ただその場に居合わせただけで本人たちは気づいていない。

引越してお別れしたけど案外近くにいるとかそういう?

あと教授が後ろにいたような描写はなんだったんだろう。

今度は教授に尾行されてるぜ的な?

 

あと、大学の飲み会で向かいに座る女のが、珠に嫉妬深そうな目をしていたのが気になった。

論文とか適当でいいのよ!みたいに言ってたのに珠はちゃんとやっていそうだったから?

オタサーの姫的なポジだったのに、他の男から珠が誉められていたから?

あとシーンが教授に対する説明のシーンだったら、女や描写はいらないし、あれに意味を持たせるならもう少し女との関係とかそういうのを見せても良かった気もする。まぁ、映画だし2時間だしそんな余裕ないか、、。

 

 

 

見た感想としてはまぁ面白かった。

珠は尾行を通して本当に何かがわかったのか気になる。論文を書いて結論を出してもきっと胸のモヤモヤとかそういうのは消えないんだろうな。

でも、たまたま不倫してる人を尾行したから物語が生まれただけで、平凡な幸せな家庭の人だったら珠は何かが満たされそうになったりはしなかった思う。

そこの人選の運もあるのかな。

結局珠は卓也と離れることになってしまったけど、自分の大切な人は自分から離れていくって、卓也に関しては完全に自分起因だよな〜と思った。